雇用保険の給付の申請について
下記に述べるのは、一般被保険者(短時間被保険者を含む)であった者についての受給手続きの概略です。
雇用保険の給付については、雇用保険金を受けようとする者が自らの意思に基づいて公共職業安定所に申請をすることより給付を受けることになります。
雇用保険の受給に際しては、自己の住居を管轄する公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みを行わなければなりません。
すなわち、就職するにあたって希望する条件を具体的に申述することが求められるわけです。
就職の意思の確認
健康保険などの「扶養認定」を受けることを希望するなどの理由により短時間の就職を希望する場合については、「就職の意思」がないものとして扱われる場合があります。
いわゆる「内職・手伝い」程度の就労を希望する者にについては、「就職の意思」があるとは認定されません。
勉学、休養、旅行などの理由により、直ちに就職することを希望しない者については、当然、「就職の意思」はないものとして扱われます。
この段階において、現在、職業についているか否か、病気、ケガなどの理由により直ちに就職できない者であるか否かの確認が行われます。
失業の認定について
上述の求職申し込みの後、約4週間後に設定される「認定日」に公共職業安定所に出頭し、失業状態であることの確認を受けることにより、雇用保険金が支給され、このプロセスを「失業の認定」といいます。
失業状態が続く場合において、「認定日」は原則4週間ごとに設定され、失業の認定は「認定日」においてのみ行われます。
認定日は、特段の事由がない限り変更されず、かつ、認定日以外の日において失業の認定を受けることはできません。
「認定日」に給付を受けようとする者が自ら公共職業安定所に出頭し求職の申し込みをすることにより、「就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力」があることの確認がされます。
したがって、代理人による認定や郵送による認定は行うことができません。
雇用保険金の給付の基準
最初に雇用保険受給手続きを取った日から失業であった日(ケガや病気で職業に就くことができない日を含む)が通算して7日に満たない間については支給されず、これを「待期期間」といいます。
雇用保険金(基本手当)は、失業であった日について支給がなされます。
例えば、1週間(7日間)の間に2日間アルバイトをすれば、アルバイトをしなかった5日間が失業であったと認定(雇用保険金が給付)されます。
1週間の間に20時間以上働いた場合においては、その仕事に従事した期間は働かなかった日も含めて認定されません。
すなわち、「失業」ではなく「就職」状態とみなされるわけです。
仮に「就職」状態に至ったとしても、その仕事を辞めて「失業」状態に至れば再度認定を受けることは可能です。
雇用保険受給中に、病気その他の理由により引き続き15日以上就職できない状況が発生した場合については、その期間については「失業」状態とは認定されません。
ただし、病気・ケガなどの理由による場合については「(雇用保険の)傷病手当」の支給がされる場合、あるいは、「受給期間の延長」ができる場合があります。
就業促進手当について
雇用保険受給中に就職(パートやアルバイトも含む)した場合において、「就業促進手当」が給付される場合があります。
「就業促進手当」は、「安定した」職業に就いた場合に支給される「再就職手当」、「安定していない」職業に就いた場合に支給される「就業手当」、障害者などのいわゆる「就職困難者」が公共職業安定所等の紹介により安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」の3種類があります。
「再就職手当」、「就業手当」を受給した場合は、支給額に相当する日数を既に支給したものとみなされます。
「常用就職支度手当」は、本来給付を受けることができる日数とは別途に「常用就職支度手当」がなされます。
不正受給について
偽りの申告をなす等不正な手段で給付を受けた場合、受けようとした場合は「不正受給」として処分されます。
「不正受給」とされた場合、不正に受給した金額の3倍以下の金額を納付(返還)しなければならないほか、残余の日数についても支給を受けることはできません。
故意の不正受給行為は、「詐欺罪」を構成することは勿論です。