所定給付日数について
「失業」状態にあれば無期限に給付がなされるのではなく、給付日数には上限が定められており、この上限日数を「所定給付日数」といいます。
「所定給付日数」は、「失業状態であると認定されれば受給することが可能となる最大限度の日数」という意味です。
したがって、失業すれば所定給付日数のすべてを当然に受給できるという考え方は誤りです。
一般被保険者であった者の場合、所定給付日数は、被保険者であった期間が10年未満の者については90日、10年以上20年未満の者については120日、20年以上の者については150日となっています。
特定受給資格者について
倒産、解雇などの理由により、再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた一般被保険者であった者(「特定受給資格者」という)については、別段の日数が定められています。
この場合の所定給付日数は、90日〜330日(離職時の年齢や被保険者であった期間で異なる)となっています。
倒産、解雇による離職でなくとも、これらに準ずる理由により離職したと安定所長が認定した場合については、特定受給資格者となります。
例えば、賃金の未払いが続いたため退職した場合、過度の長時間労働が続いたため退職した場合、3年以上に渡って有期の雇用契約が更新され続けた場合において事業主が雇用契約を更新しないとした場合などです。
公共職業安定所は、障害者、母子家庭の母などのいわゆる「社会的弱者」を雇用した事業所に対して「助成金」の支給を行っています。(雇用保険被保険者である)
従業員を1人でも解雇した事業所に対しては、「助成金」は相当期間支給されません。
解雇でなくとも、上述の「特定受給資格者」と認定された離職者が相当数いる事業所についても同様の措置が取られます。
したがって、特定受給資格者であるか否かについては、事業主、離職者双方の意見を聞いた上で、客観的証拠に基づき厳格に判定されます。
就職困難者について
いわゆる「就職困難者」についても別段の日数が定められています。
この場合の所定給付日数は150日〜360日(離職時の年齢や被保険者であった期間で異なる)で、離職理由による区別はありません。
「就職困難者」とは、身体障害者手帳を所持する者、療育手帳を所持する知的障害者、精神障害者保健福祉手帳を所持する者、精神分裂病、そううつ病またはてんかんにかかっている者、社会的事情により就職が著しく阻害されている者であると安定所長が認定する者になります。